今日は午後、北方町高齢者消費者被害防止モデル事業として、北方町老人福祉センターにて講演させていただきました。
今日お話させて頂いたのは、北方町地域活動支援センターもちの木の利用者と保護者の皆さん。
地域活動支援センターもちの木は障害者の方が地域において自立していけるように、生産活動の機会や社会との交流の機会を提供するセンターだそうです。
今日は権利擁護として成年後見制度について中心にお話させて頂きました。
はじめての質問
最後になにか質問はありますか?と問いかけたところ、利用者のおひとりが手を挙げられました。
周りの保護者の方たちは「いえ、先生彼の質問は良いですから」とその質問を遮ろうとします。
どうしてだろう?
「いえ、せっかくなので是非質問お聴きしたいです」と私は伝えました。
彼は発語ができない障害をお持ちだということが様子でわかりました。だから周りの保護者の方達がとめたということも。
その彼は机の横に置いてあった自分のザックを取り上げて、その中からゆっくり一つの機械を取り出しました。
取り出した機会は年季の入ったワープロのように見えました。
こじんまりとしていてキーボードと小さな液晶がついています。
彼がそこに文章を打つと、機械の音声になって言葉が流れてくるようになっているようです。
彼がキーボードを打つと機会から言葉が流れてきました。
私は聞き取りなれていないので、もう一度聞き返すとこんな言葉が聞こえてきました。
「親がいなくなったあと、僕はどうなりますか?」
ハッとしました。
今まで障害のお子さんをもった親御さんたちから「親亡き後」を考えたいということで成年後見制度をお伝えするお話はあちこちでしてきました。
しかし、当事者のご本人からそういう言葉で問いかけられることは「はじめての質問」だったからです。
私は成年後見制度の話をもう一度繰り返して話しました。
この国の制度の中で、成年後見制度というものがあること。
その制度で、見守ることができるということ。
興味があったらいつでも話を聴きに来て下さいということ。
彼がまたキーボードをたたきました。
機械からはこんな声が流れてきました。
「わかりました。ありがとうございました。」
成年後見制度はまだまだ未成熟な部分のある制度です。
それでも、権利擁護として使っていける数少ない制度であることは間違いありません。
私の説明の仕方でよかったのだろうか、彼が知りたいこと、必要なことは伝わっただろうか、成年後見制度はちゃんと人を幸せにする制度としてつかわれているのだろうか。
そんなことを考えながらの帰り道でした。
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